第13回串本海中フォトコン・審査委員特別賞 清水賞受賞

2004年秋 和歌山県串本町の港に2頭のイルカが現れた
ダイビングからボートで戻った私は 言われるままに
カメラを抱きしめて 海に飛び込んだ
水中で見るイルカの体は 黒くて大きい 体を強張らせて 息を呑んだ
ドコカラキタンダロウドウシテココニイルンダロウ
頭の中で 言葉にならない言葉が走り回った
迷いイルカの1頭が 体を摺り寄せてくる
大きな海の生物の体が 私を後ろに押しやる
不安なのか 心配なのか もう怖くなかった
私はイルカと目を合わせ 頭の中に地図を描き
ここは君達の遊ぶところじゃない
もっとあっちまで泳いでいかないとダメよと 心で念じてみた
今考えると笑ってしまいそうなことだけど
そのとき私は 真剣にイルカと向き合っていた
落ち着いてきたイルカたちの撮影を試みる
シャッターチャンスを狙いながら 体中でいとおしいと感じていた
翌日の新聞は 彼らがセラピーの研究で飼われていたイルカで
台風で四国にある大学の施設から逃げ出した2頭と報道した
名前は リル と ハイジ 再会はまだ叶っていない